【レポート】東京・しごとバーにて 佐賀の魅力をサガさナイトを開催しました

全国的な認知度は低いものの大きな魅力にあふれた県、佐賀県。移住してくる人たちは感性が豊かで面白い人が多く、ますます佐賀県に暮らすことが楽しくなっています。そんな佐賀のことを伝えたい! クリエイティブや多拠点暮らしに興味がある人、佐賀に興味がある人ない人これから知りたい人、おいしいものに目がない人……と直接会って語り合いたい! と開催したのが「佐賀の魅力をサガさナイト」です。

2018年12月8日。場所は東京都江東区清澄白川にあるリトルトーキョー。

リトルトーキョーは求人サイト「日本仕事百貨」を運営する株式会社シゴトヒトが運営する多目的スペース。そこでは毎晩のように、さまざまな生き方・働き方をしている人たちが1日バーテンダーとしてカウンターに立ち、お酒を飲みながら話をする「しごとバー」というイベントが行われています。

今回「佐賀の魅力をサガさナイト」のバーテンダーとして登壇したのは当法人の佐々木と株式会社スロウの原大輔さん。うちやま百貨店にもご参加いただいた佐賀県有田町のカフェFountain Mountainのオーナーである原さんは、普段は東京でデザイン会社を経営しながら毎月1~2回ほど有田町を訪れてカフェで働く二拠点生活をしておられます。

二拠点生活や佐賀で働き暮らすことって実際のところどうなの!? 参加者との距離が近いゆったりした空間で、佐賀のおいしいおつまみと地酒をいただきながら楽しい時間をすごしました。

イベントの詳細はこちら

登壇者プロフィール


原 大輔(はら・だいすけ) 写真左
1970年生まれ。長崎県出身。アートディレクター。SLOW代表取締役。企業誌や雑誌のエディトリアルデザインや、ロゴなどのデザインを手がける。佐賀県有田での拠点「Fountain Mountain」はカフェであり、地元のコミュニティスペースとしても機能している。
【SLOW.inc】
http://www.s-low.com/
【Fountain Mountain】
http://www.fountainmountain.jp/

佐々木 元康(ささき・もとやす)写真右
1983年生まれ。佐賀県出身。民間非営利団体(NPO法人)灯す屋代表理事。今夏に退任した地域おこし協力隊の頃から、移住と空き家をキーワードに、地域で暮らす人たちが幸せになる手伝いをしている。2017年春、セルフリノベーションした「シェアハウス&シェアアトリエ・コネル」をオープン。
【NPO法人灯す屋】
https://tomosuya.com/
【シェアハウス&シェアアトリエ・コネル】
https://www.facebook.com/conel2017/

好きではなかった地元に帰ってきたきっかけ



司会の今井さんはとっても聞き上手・引き出し上手。

もともと埼玉で製薬会社の研究員として働いていた佐々木。約3年前に故郷の有田町地域おこし協力隊としてUターンし、気づけば民間非営利団体(NPO法人)を立ち上げこの町に根付いて暮らすことを決めた──その最初のきっかけはなんだったのでしょう。

佐々木 元康(以下、佐々木)「薬の研究者の仕事は子どもの頃からの夢です。例えばがんだったり、途上国に向けて薬のない難病を治す、新薬の研究開発をしたいという想いがありました。しかし実際に働いてみると世界的にも製薬会社の統廃合などが相次いだ時期で、日本で新薬を開発することが厳しくなっていて……思い描いていた仕事とはかけ離れた状態になっていたことが一つです。


もう一つは2011年3月11日に起こった東日本大震災。ボランティアで何度も通った南三陸町で、故郷を再建するために都会から町に戻ってくる人たちに多く出会いました。町の大部分を津波に流されているにも関わらず、みな前向きなんです。そんな風に故郷と関わる人たちを見てすごくうらやましく思いました。

私は故郷である佐賀・有田があまり好きではなかったんですが。(笑)焼き物しかないイメージだったし。しかし南三陸での体験を経て、故郷の役にたちたいと思うようになりました。


製薬会社の社員を辞めるということは、大きな決断。移住後の収入については約3分の1になった、との言葉に会場が若干どよめきました。やはり皆さんお金に関することは気になる様子。しかし実家が近くなること、夫婦で働いていること、また「よくある話だけど近所から野菜をもらったり、家で食べるご飯がおいしかったり、お金を使う機会自体が減った」ことから生活の質は豊かだそう。

有田で商売は難しい!? いきなりカフェを開くことになって




続いては原さん。長崎県東彼杵郡川棚町出身の原さんは、お父さんが有田町のご出身。幼少期は何度も有田を訪れていましたが、大人になってからは足が遠のいていました。2014年、30年ぶりに有田を訪れたそうです。

原 大輔(以下、原)「その時に会った父の知り合いのおじさんが、有田はもうダメだ! といきなり話してきて。(笑)父の出身地だし、東京にいながらグラフィックデザインの仕事で何か町を手伝えることがあるかもしれないな、とは思ったんですね。そういったことを東京に戻り都市計画の仕事をしている人たちに話したところ、興味を持ってもらえて一緒に有田を訪れることになったんです。


何度か通って町の人たちにインタビューしたりして一体何が問題なのか、現状を調査・把握したりして。そういうことをやっているうちに一緒に行った方たちから“この町には場が必要ですね”と言われました。でも俺は東京に住んでいるわけだし、そういうことは町の人がやればいいのではないかなと思っていたんですが、段々”これは原さんがやるべきことじゃない? ”って言われだして、えーー! 俺が!? って。(笑) ついに2016年に決意してやります! と。」


東京のデザイン事務所の社員さんたちもさぞかしびっくりされたでしょう。しかもカフェ経営はまったくの未経験。空き店舗を借りるのに時間がかかり、施工会社もなかなか決まらない……と紆余曲折あり、もともとは古民家だった物件をたった2週間(!)でカフェにしたそうです。そうやって2016年9月にオープンしたFountain Mountain

” 場が必要 “とは詳しくはどういうことなのでしょうか。

やっぱり世代間の分断もあるし、町で暮らす一人ひとりがつながっていない。それでは新しい何かを生み出すことも難しい。まずは皆がつながるための場所が必要。

また有田は商売人・職人どうしが隣り合って住んでいるわけで、言ってみればライバルなわけです。昔は特にね。最初は親にも親戚にも昔からの有田を知っている人たちには反対されました。有田で商売するなんて絶対に無理だぞ! 辞めておけって。しかも東京からきた人たちになにができるんだ、みたいな先入観を持って見られるのですから。」


今年の9月で2周年。さまざまなイベントが行われたり、何もない日にものんびり長居する方がいらっしゃるなど、町の人に愛され地域に根付いている様子がうかがえます。



Fountain Mountainの店内。昔、商家だった建物は広々していて暖かい日が差し込んでいる。

「あと、東京でやるより格段に目立つんですよね。オープンして1ヶ月で県知事がきたりとか。今はSNSもありますから、情報発信を続けることで県外から訪れる人も多いです。

二拠点生活自体は、感覚としてはもう東京にいても佐賀にいても気持ちの切り替えがなく、ほとんど変わらなくなりました。以前はこっちも”田舎に行く”という先入観がありましたから。でも何回も移動していると違和感がなくなってくる。ただ地方にいた方が情報量が少なく都会にはないような自然の音が聞こえたりします。山にも登ったんですけど、都会にある整えられた自然と違って標高が低い山でも登ると命の危険を感じることがあります。生きている実感があるかもしれないな。(笑)」


佐々木地方移住というと家族との時間が増やせるとか都会の生活よりのんびり、という印象もあるかと思うのですが、正直製薬会社時代より忙しい……。地域おこし協力隊という初めての仕事だったこともありますが、町づくりの話の場は、皆さん日中は本業の仕事があるわけですから夜が多いんですね。最初の一年は特に大変でした。」

なるほど、地方に住んでどんなことをやりたいかにもよりますが、“地方=のんびり”ではないようです。
佐賀を好きになるには何泊くらいして、どこに行ったらいいですか?との質問には

「1泊では足りないから2~3泊はしてほしいかな。山や海のアクティビティもできるし、長崎県の波佐見町も近い。地域による雰囲気や気質の違いもあるから楽しんでほしい。ぜひうちにもよってください。のんびりずーっといるおじいちゃんとかもいるし(笑)」

と原さん。ぜひ一度佐賀を訪れてほしいです!



参加してくれた人は、都内に住んでいる佐賀出身の方、親子連れ、しごとバーにいつもきているので今日もふらっと立ち寄った人、二拠点生活に興味がある大学生・・・とさまざま。皆さん、真剣に聞きながらも相づちを売ったり、笑ったり、ゆったりした空気が流れていました。

佐賀のおいしいものを食べながら話そう!





さて、お二人のお話のあとはお楽しみの歓談タイム。通常のトークショーと違って、参加者どうしがコミュニケーションをとれるというところがいいですね。歓談の前に、佐賀県庁・移住支援室の川平さんに本日の佐賀の日本酒とおつまみの盛り合わせを説明をしていただきました。


呼子のいかしゅうまい、ぱりぱり佐賀のり、地鶏のスモーク。 日本酒「古伊万里」と一緒に舌鼓を打ちました。佐賀にはおいしいものが盛りだくさん!


茶わん最中の説明をする佐々木。「どんなあんをいれるの? どこで売るの?」と質問が飛び交っていました。


佐賀出身の若者と語らいました。地元を離れてみて気づいた佐賀のよさや、Uターンして働くことなど盛り上がりました。初めて会った人どうしでも会話が弾み、気づくと23時! 泣く泣くお開きにしました。


皆さんいい笑顔~! お集まりいただきありがとうございました!!

まとめ


大変盛り上がった今回のイベント。とてもいい時間と空間でした。佐賀でもぜひこのような気軽に参加できて皆さんとお話できるイベントがあるといいな、という意見もありました。特に新しい暮らしをはじめる際は不安や迷いがつきもの。直接お話しすることでお互いに気づきがあったり、的確なアドバイスができると感じます。今後そういった場をもつと共に、webでの情報発信にも力を入れていきたいと思います!

当日会場にこれなかった人にも少しでも雰囲気が伝わればうれしいです。

YouTubeでの配信はこちら

佐賀や有田での暮らし、空き家についてのお問い合わせもお気軽にご連絡ください。
お問い合わせ

SNSも更新中です。
Facebook / Twitter / Instagram